製氷機の選び方
日産能力の目安と設置条件
製氷機は「日産◯kg」で選びますが、その数字は条件のよい環境での能力です。夏場の厨房で、同じだけ作れるとは限りません。足りなくなる店の多くは、能力そのものではなく置き場所でつまずいています。
このページでわかること
前提日産能力の考え方
製氷機のカタログにある日産◯kgは、24時間あたりに製造できる氷の量です。ただしこれは一定の条件下での数値で、実際の厨房ではそこまで出ないことがあります。
| 能力が落ちる要因 | 内容 |
|---|---|
| 周囲の温度 | 厨房の気温が高いほど製氷能力は落ちます。夏場のピークは、カタログ値どおりにはいきません |
| 給水の温度 | 水温が高いと凍らせるのに時間がかかります |
| 放熱スペース | 壁に密着させる、隣を機器で挟むと、熱がこもって能力が落ちます |
| 熱源からの距離 | コンロやフライヤーの近くは条件として不利です |
| スケール(水垢)の付着 | 清掃を怠ると製氷部に付着し、能力が落ちて故障にもつながります |
| ストッカーが満杯 | 貯氷量の上限に達すると製氷が止まります。貯氷量も選定条件です |
日産能力が足りていても、ピーク時に一気に使う量を貯めておけなければ切れます。逆に貯氷量が大きくても、作るスピードが追いつかなければ回りません。ピークの使用量に貯氷量が耐えられるかという視点で選んでください。
目安席数と業態からの考え方
必要な氷の量は、1日の提供杯数 × 1杯あたりの氷の量 + 仕込み・保冷で使う量で決まります。業態によって、この構成が大きく変わります。
| 業態 | 氷の使われ方 | 必要量の傾向 |
|---|---|---|
| バー・居酒屋 | ドリンクに大量に使用。回転も速い | もっとも多い。席数に対して大きめを見込みます |
| カフェ | アイスドリンク中心。夏場に集中します | 季節変動が大きい。夏のピークで選定します |
| 寿司店・鮮魚を扱う店 | ドリンク+ネタの保冷に使用 | 保冷分を上乗せして考えます |
| ラーメン店 | 水・ドリンク用が中心。冷やし系メニューがあれば増えます | 比較的少なめ |
| 焼肉店・定食店 | ドリンク用が中心 | 席数と回転数に比例します |
製氷機は1年でいちばん使う日を基準に選びます。平均に合わせると、夏場に必ず足りなくなります。足りないぶんを購入氷で埋める運用は、原価としても手間としても重くなります。
当サイトの無料診断では、席数と業態に応じた必要日産量を算出し、該当するサイズの機種を提案します。
種類氷の形状と用途
| 形状 | 特徴 | 向く用途 |
|---|---|---|
| キューブアイス | 四角い氷。溶けにくく、透明度が高い | ドリンク全般。もっとも汎用的です |
| クラッシュアイス | 砕いた氷。冷却が速く、隙間に入ります | カクテル、かき氷系、ソフトドリンク |
| チップアイス・フレークアイス | 薄く細かい氷。食材を傷つけにくい | 鮮魚の保冷、ネタケース、青果の陳列 |
| ボールアイス | 球形。溶けにくく見栄えがよい | ウイスキー、こだわりのドリンク提供 |
キューブとチップの両方が必要な業態(寿司店、鮮魚を扱う居酒屋など)では、2台に分けるか、用途を割り切るかの判断になります。1台で兼ねようとすると、どちらの用途でも中途半端になりがちです。
形状アンダーカウンターとスタックオン
| タイプ | 特徴 | 電源の傾向 |
|---|---|---|
| アンダーカウンター型 | 作業台の下に収まる高さ。小〜中容量。省スペース | 単相100Vの機種が中心 |
| バーチカル型(縦型) | 中〜大容量。設置面積あたりの製氷量が大きい | 容量により単相/三相 |
| スタックオン型 | 製氷ユニットとストッカーが分離。大容量向け | 三相200Vが前提の機種が主流 |
日産100kgを超えるクラスでは、三相200Vを前提とする機種が主流になります。三相の引込がない物件では、数十万円規模の工事が発生することがあり、ビルによっては物理的に引き込めない場合もあります。物件契約の前に確認してください。→ 電気・ガス・給排水の容量
設置置き場所で能力は変わります
- 給水が必要/水道の分岐が必要です。給水位置から離れると配管工事が増えます。
- 排水が必要/製氷機は排水も出ます。排水口の位置が設置場所を制約します。
- 放熱スペース/背面・側面に機種ごとの指定があります。塞ぐと能力が落ち、故障も早まります。
- 熱源から離す/コンロやフライヤーの隣は避けます。
- 氷を取り出しやすい位置/ドリンクを作る場所から遠いと、営業中ずっと往復することになります。
- 水質と浄水器/地域の水質によっては、スケール対策として浄水器の設置を検討します。氷の味にも関わります。
- メンテナンススペース/清掃と点検のために前面や上部を開ける必要があります。
配置の考え方は 厨房レイアウトと通路幅、搬入経路の測り方は 搬入と設置 をご覧ください。
運用清掃を前提に選ぶ
製氷機は口に入るものを作る機器です。氷は加熱しないため、衛生管理の対象として扱います。定期的な清掃を前提に、機種と設置場所を選んでください。
- 日常清掃/ストッカー内部、スコップ、扉まわり。スコップを氷の中に入れっぱなしにしないのが基本です。
- 定期清掃/製氷部、フィルター、排水経路。機種ごとに手順の指定があります。
- 清掃しやすい機種を選ぶ/分解しやすさは機種で差があります。日々の作業の負担に直結します。
- 記録に残す/HACCPに沿った衛生管理では、清掃も管理項目になります。→ HACCPに沿った衛生管理
製氷機は冷却系統と水回りの両方を持つ機器で、内部の状態が外から見えません。中古では慎重に選ぶ側に入ります。導入するなら、清掃履歴と製造年が確認できるものに限定してください。→ 中古厨房機器の選び分け
厨房図面の作成依頼 / ちゅーぼーラボ
製氷機は給水・排水・放熱・電源の4条件が揃う場所にしか置けません。しかもドリンクを作る位置から遠いと、営業中の動線が伸び続けます。給排水の取り出し位置を前提に配置を決めることで、工事費と日々の手間の両方を抑えられます。
- 必要日産量の算定/業態とピーク時の使用量から機種を選定
- 厨房レイアウト図/給排水位置・放熱スペース・動線を踏まえた配置
- 電源計画/三相200Vの要否を契約前に判定
よくある質問
製氷機の日産能力はどう決めればよいですか?
1日の提供杯数に1杯あたりの氷の量を掛け、仕込みや保冷で使う分を足して考えます。基準にするのは年間の平均ではなく夏場のピークです。平均に合わせると必ず足りなくなります。バーや居酒屋は席数に対して大きめ、ラーメン店は比較的少なめというように、業態によって必要量が変わります。
カタログの日産能力どおりに氷はできますか?
一定の条件下での数値なので、実際は下回ることがあります。厨房の気温が高い、給水温度が高い、放熱スペースが足りない、熱源の近くに置いている、といった条件で能力は落ちます。夏場は特に差が出るため、余裕を見て選定してください。
製氷機に三相200Vは必要ですか?
日産100kgを超えるクラスでは三相200Vを前提とする機種が主流です。アンダーカウンター型など小容量の機種は単相100Vが中心です。三相の引込がない物件では数十万円規模の工事になることがあり、ビルによっては引き込めない場合もあるため、物件契約の前に確認してください。
製氷機は中古でも大丈夫ですか?
冷却系統と水回りの両方を持ち、内部の状態が外から見えないため、中古では慎重に選ぶ側の機器です。氷は加熱せずそのまま口に入るものなので、衛生面のリスクもあります。導入するなら、製造年と清掃履歴が確認できるものに限定してください。
さらに詳しい質問と回答は よくある質問ページ にまとめています。
まとめこの記事の要点
- 選定は日産能力と貯氷量の両方。ピーク時に使う量を貯めておけるかを見る。
- カタログ値は条件のよい環境での数値。夏場のピークを基準に余裕を見て選ぶ。
- 氷の形状は用途で決まる。キューブとチップの両方が要る業態は2台構成も検討する。
- 日産100kg超のクラスは三相200Vが前提。物件契約前に引込を確認する。
- 置き場所には給水・排水・放熱・電源の4条件が要る。動線からの距離も効いてくる。
製氷機は、止まると営業がそのまま止まる機器です。能力に余裕を持たせることと清掃しやすい場所に置くこと。この2点を押さえておけば、開業後に困ることはほとんどありません。
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