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衛生管理

HACCPに沿った衛生管理
小規模な飲食店の実務と記録の残し方

HACCPと聞くと難しく感じますが、小規模な飲食店に求められるのは「手引書を参考にした衛生管理」です。やることは、計画を作り、実行し、記録に残す。続けられる形にできるかが、すべてです。

最終更新:2026年7月28日/掲載内容は一般的な目安です。最終的な判断は所轄の窓口や施工業者にご確認ください。

前提小規模な飲食店に求められること

食品衛生法の改正により、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。ただし、小規模な営業者等については、業界団体が作成し厚生労働省が確認した手引書を参考に、簡略化されたアプローチで取り組むことが認められています。

個人経営の飲食店の多くはこちらに該当します。大規模な工場と同じ仕組みを作る必要はありません。

やること内容
① 衛生管理計画を作る手引書を参考に、自店の作業に合わせた計画を作成します
② 計画に従って実施する日々の作業として、決めたとおりに実行します
③ 記録して保存する実施した内容を記録に残します。保存期間は手引書の指示に従います
④ 定期的に見直すメニューや作業が変わったら、計画も見直します
手引書は業種ごとに用意されています

飲食店向けの手引書は、業界団体が作成し厚生労働省が確認したものが公開されています。自店の業態に合う手引書を入手して、それをベースに計画を作るのが最短です。所轄の保健所でも案内してもらえます。最新の内容は厚生労働省および所轄の保健所でご確認ください。

構造一般衛生管理と重要管理

衛生管理計画は、大きく2つのパートでできています。

一般衛生管理重要管理(メニュー分類ごとの管理)
対象店全体の基本的な衛生調理工程そのもの
内容の例原材料の受入確認、冷蔵・冷凍庫の温度確認、器具の洗浄消毒、手洗い、トイレの清掃、従業員の健康管理加熱の温度と時間、冷却、保管温度、提供までの管理
頻度日常的(始業時・作業中・終業時)調理のたび

メニューは3つに分けて考える

手引書では、メニューを調理の仕方でグループ分けして管理する考え方が示されています。

  • ① 加熱しないもの/刺身、サラダ、冷奴など。冷蔵での温度管理と交差汚染の防止が要点になります。
  • ② 加熱してすぐ提供するもの/炒め物、揚げ物、焼き物。中心部まで十分に加熱されているかが要点です。
  • ③ 加熱後に冷却・保管して提供するもの/仕込み品、カレー、煮込み、作り置き。加熱・冷却・保管・再加熱のそれぞれで管理が必要です。
仕込みが多い店ほど、③の管理が重くなります

作り置きを冷まして保管し、翌日以降に提供する工程は、温度が下がりきらない時間が長いほどリスクが高まります。短時間で冷ます手段(急速冷却、小分け、浅い容器)と冷蔵の保管能力が要ります。ラーメン店のスープ、煮込み、ソースなどが該当します。

無料・登録不要・5分 衛生管理に必要な機器が、構成に入っているか確認する。 業態とメニューを入力すると、必要な厨房機器の一覧が出ます。冷蔵・冷凍の保管能力、手洗い設備、包丁まな板の殺菌庫など、衛生管理に関わる機器も構成に含めて算出します。 厨房機器と費用を無料で診断する 保健所の施設基準にも関わる項目です

実務衛生管理計画の作り方

  • 1. 業態に合う手引書を入手する/所轄の保健所で案内してもらえます。
  • 2. 自店のメニューを3分類に振り分ける/加熱しない/加熱してすぐ/加熱後に冷却・保管。
  • 3. 手引書の様式に自店の作業を書き込む/ゼロから作る必要はありません。
  • 4. 「いつ・誰が・何を」まで決める/担当者と時間帯を決めないと、実務では続きません。
  • 5. 記録様式を決める/紙かデジタルか。次の項で扱います。
  • 6. 従業員に共有する/計画は店に掲示し、全員が同じ手順で動ける状態にします。
最初から完璧を目指さない

計画は見直す前提です。メニューが変われば管理も変わります。まずは手引書どおりに作って運用し、無理があるところを直していくほうが、確実に定着します。

続ける工夫記録は「続けられる形」で残す

記録が続かない店には共通点があります。書く場所が作業場所から遠い、項目が多すぎる、担当が決まっていない。この3つです。

続く記録のつくり方
  • 記録用紙は使う場所に貼る冷蔵庫の扉、手洗い場の壁など
  • チェック方式にする数値を書くのは必要な項目だけに絞ります
  • 担当と時間を決める始業時に誰が、終業時に誰が
  • 異常時の対応も書いておく温度が高かったときにどうするかまで
  • 1日1枚にまとめるファイリングが楽になります
続かない記録の特徴
  • 項目が多すぎる手引書の範囲を超えて作り込みすぎています
  • まとめて後から書く記録の意味がなくなります
  • 担当が決まっていない誰もやらない状態になります
  • 置き場所が遠い作業導線から外れると書かれません
  • 異常時の手順がない気づいても対応できません

記録の保存期間や様式は、参考にする手引書と所轄の保健所の指導によります。保健所の立入時に確認されることがあるため、すぐ出せる場所に保管してください。

設備衛生管理に必要な機器

衛生管理は運用だけでは回りません。開業時の機器構成で、できることが決まります。

機器・設備役割
温度計(中心温度計)加熱後の中心温度の確認。重要管理の記録に使います
冷蔵・冷凍庫の温度計庫内温度の日常確認。外から読める表示があると記録が楽になります
十分な容量の冷蔵・冷凍庫詰め込みすぎは温度不良の原因。→ 冷蔵庫の選び方
手洗い設備位置と数は施設基準にも関わります。使いやすい位置にあることが定着の条件です
包丁まな板殺菌庫器具の保管と殺菌。交差汚染の防止に効きます
食器洗浄機高温での洗浄・すすぎ。品質のばらつきが出にくくなります → 食洗機は必要か
用途別のまな板・器具色分けで交差汚染を防ぎます。生食用と加熱用を分けます
ブラストチラー等の急速冷却仕込みが多い店では有効。導入しない場合は小分け・浅い容器で対応します
手洗い設備は「位置」で決まります

設置されていても、作業位置から遠ければ使われません。調理位置から一歩で届く場所にあることが、衛生管理を定着させる条件です。図面の段階で決めるべき項目になります。→ 保健所の施設基準

段取り開業準備での進め方

  • 食品衛生責任者の資格を取る/講習は地域によって数か月先まで埋まっていることがあります。早めに予約してください。→ 必要な資格・届出
  • 図面段階で手洗い・器具保管の位置を決める/後から動かせません。
  • 保健所へ事前相談する/図面を持参します。施設基準の確認と同時に、衛生管理計画についても案内をもらえます。
  • 手引書を入手して計画を作る/営業許可の申請までに準備しておくと安心です。
  • 記録様式を用意して、開業初日から始める/後から遡って作ることはできません。
  • 従業員への教育/手洗いのタイミング、体調不良時の報告ルール、記録の付け方。

全体の段取りは 開業までのスケジュール にまとめています。本ページの内容は一般的な整理です。制度の詳細および最新の運用は、厚生労働省および所轄の保健所にご確認ください。

見積もりまで無料
衛生管理が回る厨房かどうかは、図面で決まります

厨房図面の作成依頼  /  ちゅーぼーラボ

作成料 33,000 税込 面積・プランに応じて変わります。お見積りの提示までは費用がかかりません。金額をご確認いただいたうえで、お申し込みをご判断いただけます。

手洗いの位置、生食用と加熱用の作業区分、洗浄から保管までの動線。これらは開業後に動かせないため、図面の段階で決めておく必要があります。ワンウェイの動線を確保しておけば、交差汚染の防止が日々の運用に組み込まれます。

  • ワンウェイ動線の設計/汚染区域と清潔区域の区分
  • 手洗い・器具保管の位置決め/使われる場所に置く
  • 冷蔵・冷凍の容量計画/詰め込みによる温度不良を防ぐ設計
衛生動線を踏まえた図面を依頼する 診断結果をお持ちでなくてもご相談いただけます。

よくある質問

小さな個人店でもHACCPは必要ですか?

食品衛生法の改正により、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が求められています。ただし小規模な営業者等については、業界団体が作成し厚生労働省が確認した手引書を参考に、簡略化された方法で取り組むことが認められています。大規模な工場と同じ仕組みを作る必要はありません。

衛生管理計画はゼロから作るのですか?

業態ごとの手引書に様式が用意されているため、ゼロから作る必要はありません。手引書を入手し、自店のメニューを加熱しないもの、加熱してすぐ提供するもの、加熱後に冷却・保管するものの3つに分けて、様式に自店の作業を書き込んでいく形が基本です。所轄の保健所で手引書を案内してもらえます。

記録はどのくらい保存する必要がありますか?

保存期間は参考にする手引書や所轄の保健所の指導によります。保健所の立入時に確認されることがあるため、すぐ取り出せる場所に保管しておいてください。詳細は所轄の保健所にご確認ください。

HACCP対応のために特別な機器が必要ですか?

特別な機器そのものより、日常の管理ができる構成かどうかが重要です。中心温度計、庫内温度が外から読める冷蔵・冷凍庫、十分な保管容量、使いやすい位置の手洗い設備、用途別に分けた器具。これらが揃っていると記録も運用も回ります。仕込みが多い店では、短時間で冷ます手段も検討してください。

さらに詳しい質問と回答は よくある質問ページ にまとめています。

まとめこの記事の要点

  • 小規模な飲食店は手引書を参考にした簡略化されたアプローチで取り組める。
  • やることは計画を作る・実行する・記録する・見直すの4つ。
  • メニューを加熱しない/加熱してすぐ/加熱後に冷却・保管の3つに分けて管理する。
  • 記録が続くかどうかは置き場所・項目数・担当で決まる。
  • 手洗いの位置と冷蔵の保管容量は図面段階で決まる。後から動かせない。

HACCPは、書類を増やすための制度ではなく、店を止めないための仕組みです。食中毒が一度起きれば、営業も信用も失われます。開業前に、続けられる形の計画を作っておいてください。制度の詳細は所轄の保健所にご確認ください。

この記事を書いた人

ちゅーぼーシミュレーター 運営者

業務用厨房レイアウト設計/実務10年

  • HACCPコーディネーター
  • 二級管工事施工管理技士

業務用厨房のレイアウト図作成に10年従事。ラーメン店・カフェ・居酒屋・焼肉店・キッチンカーなどの個人店舗から、セントラルキッチンや学校給食施設まで作図を担当してきました。 現在は、その実務で使っていた機器選定と設備容量の基準をデータベース化し、本サイトの診断ロジックとして公開しています。

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