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設備

厨房の排気フードとダクト
寸法の考え方と給気バランスの基本

排気の設計を間違えると、店内に煙が残り、扉が重くなり、エアコンが効かなくなります。しかもダクトは開業後にほぼ変えられません。フードの寸法と給気のバランスは、図面の段階で決めるべき項目です。

最終更新:2026年7月28日/掲載内容は一般的な目安です。最終的な判断は所轄の窓口や施工業者にご確認ください。

基本排気設備は4つの部品でできている

部品役割要点
① フード加熱機器から出る煙・熱・油煙を捕集します下の機器を覆えているか。はみ出すと捕集できません
② グリスフィルター油分を捕らえてダクトへの流入を減らします清掃が前提の部品。外して洗える構造か
③ ダクト排気を屋外へ運びます経路と長さ、曲がりの数で必要な能力が変わります
④ 排気ファン空気を引く動力能力と静圧。騒音も確認対象です

これに給気(外から空気を入れる経路)が加わって、はじめて設備として成立します。給気を忘れた設計は、必ず問題を起こします。

フードの型

  • Ⅰ型フード/壁付け。片側が壁に面する加熱機器に使います。もっとも一般的です。
  • Ⅱ型フード/アイランド型。厨房の中央に置いた機器を四方から覆います。同じ機器でも必要な排気量が大きくなります
  • 低速フード・グリスフィルター内蔵型/構造により捕集の考え方が異なります。機種の仕様に従います。

寸法フードの寸法の考え方

フードは下に置く加熱機器より一回り大きく作ります。煙は真上に上がるだけでなく、周囲に広がりながら上昇するためです。機器の輪郭ぴったりのフードでは、外側に逃げた煙を捕まえられません。

寸法を決める前に、機器を確定させる

フードの寸法は加熱機器の外寸から逆算します。つまり、機器が決まっていない段階ではフードを作れません。ところが工事の都合で先にフードが決まってしまうと、後から入れる機器のサイズが縛られます。順序としては、機器 → フード → ダクトです。

高さと位置

  • 床からフード下端までの高さ/低すぎると頭がぶつかり、高すぎると捕集効率が落ちます。作業する人の身長と、機器の高さから決めます。
  • 天井高との関係/天井が低い物件では、フードの立ち上がりを取れないことがあります。内見時に天井高を測っておいてください。
  • 可燃物からの離隔/木製の壁や棚が近い場合、消防の指導対象になります。

加熱機器の外寸は、当サイトの無料診断の結果画面にも表示されます。フードの相談をする前に、機器構成を固めておくと話が早く進みます。

無料・登録不要・5分 フードの寸法を決めるには、まず機器の外寸から。 業態・席数・メニューを選ぶと、必要な加熱機器とその外形寸法(W×D×H)、ガス消費量(kW)が出ます。フードとダクトの検討は、この数字が揃ってから始まります。 厨房機器と寸法を無料で診断する 物件の内見前に確認しておきたい項目です

最重要給気が足りないと何が起きるか

排気ファンで空気を外に出せば、その分の空気がどこかから入ってこなければなりません。入る経路がないと、店内が負圧になります。

症状原因
入口の扉が重い・開かない店内が負圧になり、外気に押されています。客が入りにくくなります
煙が捕集されず店内に残る排気量が確保できていません。客席まで匂いが回ります
ガス機器の燃焼が不安定燃焼に必要な空気が足りていません。安全に関わる問題です
エアコンが効かない冷暖房した空気が排気で出続けています。光熱費にも直結します
隙間から風切り音がする負圧で外気が吸い込まれています
トイレや排水から臭気が上がる負圧で封水が引かれることがあります
給気は「排気とセット」で計画します

排気だけを大きくしても、空気は回りません。給気口の位置も重要で、フードのすぐ近くに給気を吹くと、煙を吹き散らして逆効果になります。給気の量・位置・風向は、排気と一緒に設計する項目です。

法令消防と法令の確認事項

厨房の排気設備は、消防の確認対象になります。運用は自治体ごとに異なるため、必ず所轄の消防署に確認してください。一般に確認される観点は次のとおりです。

  • 火を使用する設備等の設置届/加熱機器を設置する際に必要となる届出です。着工前の確認が必要です。
  • フードとダクトの材質/不燃材であることが求められます。
  • 可燃物からの離隔距離/壁・天井・棚との距離が確認されます。
  • 防火ダンパー/ダクトが防火区画を貫通する場合などに必要となります。設置位置と点検口の確保がセットです。
  • 自動消火装置/規模や用途によって必要となる場合があります。
  • 消火器の設置/種類と設置位置。
  • 防火管理者の選任/収容人員などの条件に応じて必要になります。
点検口を潰さないでください

防火ダンパーは定期的に点検する必要がある部品です。天井を張ったあとで点検口がない、あるいは棚で塞がれている、という状態は避けてください。図面の段階で位置を決めておく項目です。

届出の一覧と窓口は 開業に必要な資格と届出 にまとめています。最終的な判断は所轄の消防署にご確認ください。

運用グリスフィルターと清掃

厨房の排気は油を含みます。放置するとフィルターとダクト内部に油が堆積し、排気能力が落ちるだけでなく、火災のリスクになります

  • グリスフィルター/日常的に外して洗う部品です。洗いやすい構造か、手が届く高さかを選定時に確認します。
  • フード内部・整流板/定期的に拭き取ります。
  • ダクト内部/専門業者による清掃が必要です。揚げ物中心の店ほど頻度が上がります。
  • 排気ファン/羽根に油が付くと能力が落ち、振動と騒音の原因になります。
  • 屋外の排気口/油が垂れると近隣トラブルの原因になります。
近隣の匂いは、開業後にいちばん揉める問題です

排気の出口が隣家の窓、上階のベランダ、他テナントの入口に向いていると、匂いの苦情につながります。物件によっては脱臭装置の設置を求められることもあります。内見時に、排気の出口がどこに向くかを必ず確認してください。

居抜き既存フードを使うときの確認点

  • フードの寸法/これから置く加熱機器を覆えるか。機器を大きくするとはみ出して使えません
  • 排気能力/前の店と業態が違えば、必要な排気量も違います。カフェの居抜きに揚げ物中心の店を入れるなら、能力不足を疑ってください。
  • ダクトの経路と状態/内部の油の堆積、腐食、途中の曲がりの数。
  • 清掃履歴/最後にダクト清掃をしたのはいつか。前借主に確認します。
  • ファンの状態と製造年/動いていても能力が落ちていることがあります。
  • 給気の経路/既存の給気口はあるか。塞がれていないか。
  • 排気の出口の向き/近隣への影響。苦情の履歴がなかったかも確認できると理想的です。

居抜き物件全般の確認点は 居抜きとスケルトンの違い、設備容量の確認は 電気・ガス・給排水の容量 をご覧ください。

見積もりまで無料
フードの寸法を、機器の配置から逆算する。

厨房図面の作成依頼  /  ちゅーぼーラボ

作成料 33,000 税込 面積・プランに応じて変わります。お見積りの提示までは費用がかかりません。金額をご確認いただいたうえで、お申し込みをご判断いただけます。

フードは加熱機器の外寸から決まります。ところが実際の現場では、機器が固まる前にフードの寸法が決まってしまい、後から入れる機器が縛られることが起こります。機器の配置を先に確定させておけば、この順序の逆転を防げます。

  • 加熱機器の配置確定/外寸とガス消費量(kW)まで一覧化
  • フード寸法の算定/機器の輪郭から必要寸法を逆算
  • 厨房レイアウト図/給気口の位置、点検口、可燃物からの離隔まで踏まえた配置
フードを含めた図面を依頼する 診断結果をお持ちでなくてもご相談いただけます。

よくある質問

排気フードは加熱機器と同じ大きさでよいですか?

同じ寸法では足りません。煙は真上に上がるだけでなく周囲に広がりながら上昇するため、フードは下に置く機器より一回り大きく作ります。輪郭ぴったりのフードでは、外側へ逃げた煙を捕集できず、店内に煙と匂いが残ります。

給気口は必要ですか?

必要です。排気ファンで空気を外に出す以上、同じ量の空気が入ってこなければ店内が負圧になります。入口の扉が重くなる、煙が捕集されない、ガス機器の燃焼が不安定になる、エアコンが効かないといった不具合が出ます。給気の量だけでなく、位置と風向も排気と一緒に設計してください。

居抜きの排気フードはそのまま使えますか?

前の店と業態が近ければ使えることもありますが、確認が必要です。これから置く加熱機器をフードが覆えるか、排気能力が業態に足りるか、ダクト内部に油が堆積していないか、清掃はいつ行われたか。機器を大きくするとフードからはみ出して使えなくなるため、機器を決める前に寸法を確認してください。

ダクトの清掃はどのくらいの頻度で必要ですか?

メニューによって変わります。揚げ物中心の店ほど油の堆積が早く、頻度が上がります。放置すると排気能力が落ちるだけでなく火災のリスクにもなるため、専門業者による定期清掃を運用に組み込んでください。日常のグリスフィルターの清掃も欠かせません。

さらに詳しい質問と回答は よくある質問ページ にまとめています。

まとめこの記事の要点

  • 排気はフード・グリスフィルター・ダクト・ファン、そして給気で成立する。
  • フードは下に置く機器より一回り大きく。順序は機器 → フード → ダクト。
  • 給気が足りないと扉が重くなり、煙が残り、ガスの燃焼が不安定になる。安全に関わる。
  • 消防の確認対象。火を使用する設備等の設置届、材質、離隔距離、防火ダンパー。運用は自治体ごとに異なる。
  • 居抜きの既存フードは寸法・能力・ダクト内部の状態・清掃履歴を確認してから使う。

ダクトは、開業後に手を入れるのが最も難しい設備です。機器の配置が決まってからフードを決めるという順序さえ守れば、大きな失敗は避けられます。詳細な要件は所轄の消防署にご確認ください。

この記事を書いた人

ちゅーぼーシミュレーター 運営者

業務用厨房レイアウト設計/実務10年

  • HACCPコーディネーター
  • 二級管工事施工管理技士

業務用厨房のレイアウト図作成に10年従事。ラーメン店・カフェ・居酒屋・焼肉店・キッチンカーなどの個人店舗から、セントラルキッチンや学校給食施設まで作図を担当してきました。 現在は、その実務で使っていた機器選定と設備容量の基準をデータベース化し、本サイトの診断ロジックとして公開しています。

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